夜尿症
夜尿症
小さなお子様がおねしょをするのは、ごく自然なことです。特に2歳くらいまでは、ほとんどの子が毎日のようにおねしょをしています。成長とともに少しずつ減っていきますが、5歳を過ぎても月に1回以上のおねしょが3か月以上続く場合は、「夜尿症(やにょうしょう)」と呼ばれます。単なる「おねしょ」とは少し異なり、医学的な診断が必要となる場合があります。 多くの場合、お子様自身に悪気はなく、病気や精神的な問題があるわけではありません。成長とともに自然に治ることも多く、心配しすぎる必要はありませんが、お子様の年齢や頻度によっては、原因の特定や適切な治療が必要となることもあります。夜尿症は、お子様にとって大きな精神的負担となる場合もありますので、親御さんの理解とサポートが非常に大切です。まずは、お子様を責めたり、叱ったりすることなく、落ち着いて状況を把握するようにしましょう。
夜尿症の最も顕著な症状は、寝ている間に尿を漏らしてしまうことです。これは、寝ている間に膀胱が満たされ、尿意を感じずに尿が漏れてしまうためです。ただ、尿漏れが起きる頻度や量、そしてその時間帯には個人差があります。毎日起こる場合もあれば、週に数回程度の場合もあります。夜中に何度も目が覚めてトイレに行く必要がある場合もあれば、全く気付かないまま朝を迎える場合もあります。また、日中の尿失禁を伴う場合もあります。症状の程度によって、お子様の日常生活や精神状態に影響を及ぼす可能性も考えられます。お子様の夜尿の様子を詳しく観察し、記録しておくことは、診断や治療に役立ちます。例えば、いつ頃おねしょをすることが多いのか、夜間の水分摂取量、睡眠時間なども記録しておくと、より正確な状況把握に繋がります。
おねしょが続く背景には、いくつかの体の働きが関係しています。
夜に作られるおしっこを十分にためられないと、寝ている間にもれてしまうことがあります。
ふつう夜になると「おしっこを作る量を減らすホルモン」が分泌されますが、このホルモンがうまく出ないと、寝ている間にたくさんおしっこが作られてしまいます。
おしっこがたまっても、深く眠っているために気づかず、そのまま出てしまうことがあります。
多くの場合、こうしたいくつかの要因が重なって夜尿が起きています。
また、今までおねしょがなかったお子さんが突然おねしょをするようになったときは、環境の変化や疲れ、ストレスなどが関係していることもあります。例えば、小学校への入学や引っ越しなど、大きな変化があるときは、心と体に負担がかかってしまうこともあるのです。
お子さんが安心して過ごせるように、気持ちに寄り添って話を聞いてあげることが大切です。
夜尿症の多くは、生活リズムを整えることで少しずつ改善が見られます。まずは以下のような習慣を意識してみてください。
こうした生活の見直しを行いながら、必要があればお薬を使ってサポートすることもあります。たとえば、夜のおしっこの量を少なくする薬(抗利尿ホルモン薬)を使うことがあります。
また、行動療法として、ベルアラーム療法などもあります。これは、尿が漏れた際にアラームが鳴り、トイレに起きることを促す方法です。これらの治療法は、単独で用いられる場合もありますが、複数を組み合わせることもあります。治療効果は、個人差がありますので、根気強く治療を続けることが大切です。
おねしょは、しつけや性格の問題ではありません。お子さん自身も「どうしてできないのかな」と悩んでいることが多いです。叱ったりするとプレッシャーになり、かえって治りにくくなることもあります。
「今日はおねしょがなかったね」「寝る前にちゃんとトイレに行けたね」など、少しの進歩をしっかり認めて褒めてあげてください。一緒に乗り越えていく気持ちが、お子さんの安心につながります。
夜尿症の改善には時間がかかることもあります。毎日のおねしょの有無や、寝る前にトイレに行けたかどうかなどを簡単に記録しておくと、病院での診察の際にも役立ちます。
無理のない範囲で、日記のように楽しくつけていくとよいでしょう。
夜尿症は年齢や回数によって、医師のサポートが必要な場合があります。
といった場合は、一度ご相談ください。
「そのうち治るかな」と思って様子を見ていたら、お子さんが宿泊行事や旅行に不安を感じてしまうこともあります。早めにサポートを受けることで、お子さんもご家族も安心して過ごせるようになります。